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依存しない生き方。(その1)

今日もいいお天気になりましたね。

空気感だけはしっかりと秋を感じます。

このまま、涼しくなってくれると嬉しいなぁ。




さて、先日、2年前にお引き渡しをしたお客様のお住まいである
KM5(広島市安佐北区)に
お邪魔しました。


全館冷暖房での、真夏の様子をお聞きすることが目的です。


去年もお邪魔させてもらいとっても快適だったため
やや雨が多かった今年はどうかな?
でしたが、
至って快適。

玄関からすでにひんやりと涼しい。


西日本は冬の寒さもですが、夏の暑さ対策が必須ですね。


ただし、湿度はコントロールが出来ないこともあって
少し多湿気味になる時期もあったとのこと。


ヒアリングをさせてもらい、
私が気になる点をお伝えしておきました。


KM5は、エアコン一台で冷暖房を行っており、
外部の室外機も当然一台。


全熱交換の換気システムはありますが、
室外機はありません。


初めてお目に掛かった時から、
一貫して、




「真夏の通風は絶対やめて下さい。」



と、お伝えしていたこともあって、
最初は驚いたものの、


室内が常時換気され、
フレッシュな空気環境に馴染んで
自然とほぼ窓を開けない生活になったとのことです。



一般的に、窓を開けないで下さ、というと、




「えーーーー!?(@_@)」



と、驚かれることがほとんどで、
中にはあからさまに嫌悪される方もいらっしゃいます。


ま、そうですよね。


窓を開けて風を入れ、
涼しくする・・・


→ 通風 ~ 採涼


は、
パッシブデザインの手法で、
エネルギーも使わないし、心地さそうですもん。


逆に、
窓を開けずにエアコンをつけっぱなしで室内の快適性をキープする、
と聞くと、
電気エネルギーを使い過ぎだし、そこまでしなくても・・・


と感じるのは人情ですね。



私がこのブログでいつも最初に、
お天気のことを話題にしていますが、
いつだって、”天気”は私の思う通りになることはありません。


当たり前です。


そんなことが出来たら(永遠に出来ないけど)、
建築業界の悩みの半分以上は解決!です。


私の設計ポリシーは、




思う通りにならないことを前提に、


計画をしない。



です。


窓を開けたい方は開けて頂いてOKですし、
禁止しているわけではありません。
(ただし、熱気、湿気、ホコリ、粉塵等々を室内へ取り込むことになるのは、
致し方ないですが・・・。)



自然の力に頼ることを前提としていないため、
取り入れようがいまいが、
計画に変わりはありません。



自然エネルギーはあくまでも、プラスアルファ。



という考えです。



太陽の光(採光・発電)、
通り抜ける涼やかな風(採涼・換気)、
恵みの雨(雨水利用など)、


これらは、利用したい自然エネルギーですね。


強烈な夏の日差し、
高い湿度の暑い空気、
叩きつける強い雨、


これらは遮りたいもの。


建築でどこまで備えて、どれを利用し、遮るか、
は立地条件等に左右されますが、
一番大事なのは、


自然は思う通りにならないし、
計画通りに利用できるとは限らない、
ということ。


また、窓上に設置する「庇(ひさし)」が代表例ですが、
日射遮蔽用に日陰を作ってくれること、
”すだれ”が設置できる点は有難いのですが、


イメージではなく、
現実問題としてすだれの脱着は誰がどうやってするのか?
2階の窓はそもそもそんなこと(すだれの脱着)が出来るのか?


複数の窓メーカーが発売している窓用遮蔽部材が
ひさしがあるため設置できないことはないのだろうか?


こちらはYKKAPが出している、日よけ商品(アウターシェード)です。


日射遮蔽は外部で行うのが最も効果的であることは
良く知られた事実です。


依存しない生き方。(その1)_e0390497_14085079.jpg

窓のすぐ上に庇が設置されていた場合、
これらは設置が難しい。


また、この商品もすだれそうですが、
外部にある場合、強風時には外すか、収めるかしなければなりません。


窓を開けての作業、もしくは外に出て脚立に上るか・・・。




自分達でずっと出来ますか?



自然は不確かで
明日の風は約束されていないとしても、
真夏の強烈な日差しも、台風も、毎年繰り返されることは
(頻度は不明でも)
ほぼ確定しているわけです。


その都度、脱着し納めてまたつける。
本当にやり続けられるのかなあ?


何十年も暮らすことが前提となっているわけですから、
自分で出来るように備えておくことが大事だと思うわけです。




自然は有難い、



自然は驚異、



どちらも本当です。



数年前の冬のこと、
西方先生の有名な仕事場にお邪魔した際、軽く衝撃を受けました。


(前も書きましたが)
ヴァレーマ(外付け電動ブラインドシャッター)を
奥様がリモコンで簡単操作し
スラットの動きで、日射を調整されていました。


もちろん、寒い外に出ず暖かい室内から。


真夏も同様にして日射遮蔽をされているとのことでした。




「楽そう!」



そして何だか楽しそうでもありました。



建築で自然をコントロールする在り方は
確かに素晴らしい。


が、自然ということがの響きが持つステキなイメージにだけ
囚われないようにしなければなりません。



自然は人が依存することを許してくれないからです。



もうひとつ、(しつこいですけど)
人も時間と共に年を重ねて行きます。


出来ていたことが出来なくなるかもしれない、
その時、手が打てるようになっていれば良いのですが、
そうでなければ、お手上げ状態です。


え?でも、設備に頼るのも依存じゃないの?


ですよね。


そうです、機械設備もそれに頼り切るとヤバイ。
前回書いたように、設備も少なきゃ少ないほどいい。




一番いいのは、


建築自体をしっかりと作っておくこと、




建築さえしっかりしていれば
自然エネルギーが期待できない時も、
少しのエネルギーで不足を補えます。


建築(特に正しく施工された断熱気密部分)は目減りしたりしませんし、
建築がある限り、効果が継続します。


後々手を打つ部分も可能であって、少なくて済む。


自然も、機械も過大評価することなく、
依存しすぎないこと。



特に自然とは、
礼讃するでなく、
否定するでなく、
ほどほどの距離感で付き合うことが
上手く行く、と思っています。



続きます!





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by enne009 | 2019-09-05 16:14 | エンネの仕事 | Comments(0)

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